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2004年 07月 06日
岩明 均 「寄生獣」
ジョン・カーペンター監督のモンスター・ホラームービー「遊星からの物体X」が大好きである。 南極基地という閉鎖的な空間を舞台にあらゆる生物に寄生しそっくりに変身する宇宙生物、物体Xが犬や人間の姿から、突然その本来の姿を現しグロテスクなモンスターへと変形していくシーンはとてつもなく強烈なビジュアルショックである。 物体Xの想像を絶する醜悪な姿に本国アメリカでは「やりすぎ」との評価を下され、またタイミング悪く「物体X」公開時はあの「ET」が大ブームであったこともあって、宇宙からの来訪者は奇怪なモンスターではなく友好的な存在であることを世間が望んでいた時代であった。 そのため正当な評価を下されていないと思われる「物体X」だが、「やりすぎ」と評されたグロテスクな描写は逆に他の映画では類をみないパワフルさを画面に叩きつける。 いまだかつてこんな衝撃的な映像を見たことは無く、これは今に至るまで俺のフェイバリット・ムービーだ。 そして、そんな物体Xを本国アメリカ以上に、正当に評価し、かつ愛しているのは、ここ日本である。 「物体X」公開後、日本の多くのメディアがこの物体Xから大きな影響を受け、様様な作品内に、この「物体X」からの強い影響が垣間見られるという現象が巻き起こった。 小説では菊地秀行のバイオレンス伝奇ホラーがもっとも直接的な物体Xの影響下にあった。 彼の名作「妖獣都市」は、あきらかに、またあからさまに物体Xの影響下のもと書かれた「物体小説」であった。 菊地秀行のほかの作品においても物体Xの影響は数多く見られる。 アニメの世界においても物体Xからインスパイアされた、触手系モンスターがいくつも登場した。 ゲームのモンスター、クリーチャーのデザインのも物体Xからの影響から描かれたものが多数ある。 いってみれば「モンスターデザイン」の世界に物体Xは革命を起こしたのだ。 それまでのオーソドックスなモンスター「ゴジラ」に代表される恐竜形モンスター、いわゆる「怪獣」から、モンスターは「物体X」的、不定形グロテスクモンスターの時代へと移行していった。 物体Xはまさにモンスターのニューウェーブとなっていた。 面白い例として、ポルノアニメの世界にも物体Xの影響は大きく広がっていった。 いわゆるエロゲーにおいて、アニメ絵の美少女たちが物体X的な触手モンスターに犯されるという場面が、乱出したのだ。 「触手エロ」という1つのジャンルを形成してしまうほどの盛況ぶりであった。 物体Xから影響を受けて製作されたエロアニメとしては「妖獣教室」、「淫魔聖戦」、「うろつき童子」などがレンタルビデオのアダルトコーナーの片隅にひっそりと置かれているので興味のある方は御覧になられるといい。 (もっとも、この物体X系エロアニメ、触手エロは物体Xからの直接的な影響と言うよりも菊地秀行のバイオレンスエロティック小説から直接的な影響を受けていると思われるが・・・・。物体Xはこのじゃんるには間接的に関わっているだけという気がする) 小説、アニメ、ゲーム、エロ、こうした様様なジャンルに物体Xが及ぼした影響を、俺は個人的に「物体Xシンドローム」と呼んでいる。 そしてこの「物体Xシンドローム」の頂点に位置する作品が、岩明均の描いた漫画「寄生獣」である。 「寄生獣」は「物体Xシンドローム」の総決算的な作品であるとともに、それまでの「物体Xシンドローム」作品群が到達できなかった高いテーマ性と、奥深い洞察、緻密な人間描写によって、たんなるSFホラーマンガというくくりを軽々と飛び越えた名作となっている。 これまで日本で描かれた漫画の中で最も面白かった作品は?と問われたら、俺は少しの間考えて、この「寄生獣」の名前をあげると思う。 「寄生獣」を描いた岩明均は、おそらくこの作品を最初のうちは、やはりホラー要素の強いSFエンターティメントとして書き始めたのではないかと推測する。 しかし、書き進めていくうちにみるみるテーマは大きく膨らんでいき、「人間とはなにか?」「生命とはなにか?」「自然の正しい摂理とは?」「人間が自然を破壊して形成したこの社会とはなにか?」といった命題に踏み込んでいったのではないかと思う。 人間と、その人間そっくりに変形して人間を捕食する、「人間の天敵」としての寄生獣というモンスターを物語世界に配置するだけで、物語は果てしなく大きく広がっていった。 そして、作者、岩明均は、こうした途方も無いテーマを1つ1つ丁寧に作品に盛り込み描写していった。 あっぱれ、というか、俺は彼のこの仕事は神がかっていたとさえ思ってしまう。 さらに寄生獣は、モンスターアクションとしても優れていた。 大きなテーマを抱えながら、一貫して豊富にアクションが連続するエンターティメントとしての姿勢を最後まで崩さなかった。 物語から離れ、彼の描く寄生獣の生態を事細かに描写するところ、変幻自在な寄生獣のシュールで優れてユニークなデザイン、つまりモンスターファンをも充分楽しませる手腕は、計り知れないとさえ言える。 極端なはなし、ストーリー抜きで、描かれた寄生獣を見ているだけでも楽しめてしまうのだ。 さらに加えて、人物の描写、ごく普通の人間達をリアルに描き、主要な登場人物以外の脇役にまで、読者の共感を呼び込んでしまう。 彼の書く人間はまさに生きた人間であり、身近な人間である。 「人間を描く」という行為がしっかりなされている。 これは岩明均が、もともとSF,ホラー畑の漫画家ではなく、過去において人間ドラマを書きつづけた経験によるものだと思う。 あまりにも漫画として優れている「寄生獣」が、俺の大好きな「遊星からの物体X」の影響下から生まれたことを俺は嬉しく、誇りに思う。 「物体X」の産み落とした最大最強の子供、それが「寄生獣」だ。 寄生獣の魅力を語るには俺はあまりに文章スキルが低すぎる。 本来なら主人公、泉新一の感じる苦悩、人間とはなんなのか?という疑問に関する逡巡についても書くべきだ。 もちろん新一のパートナー、ミギーについても、いろいろ書かなくてはいけないことがあるはず。 人間の一部と化しながら、人間とは異なる生物から見た、「人間」「社会」に対する視線は、人間として生きている我々には見えなくなってしまっている「本質」を垣間見せてくれるものだった。 新一、ミギーと対立する寄生獣たちについても、やはりもっと書くべきだと思う。 寄生獣でありながら「人間とはなにか?」について考察しようとしていた田村玲子や、 寄生獣として最も純粋であろうとした「野生の代表」後藤についても。 自分の文章のスキルの低さがうらめしい。 彼らについては、また改めて書きたいと思うので、今回は勘弁して欲しい。 最後にミーハー的なはなしでしめくくりたい。 知的で魅力的で不気味ながらもどこかキュートなミギーを、俺は大好きなのだが、 漫画を読むとき 「寄生獣がアニメになったら、ミギーの声は池田秀一にやって欲しいなあ」 と、思っている・ ガンダムのシャアのあの声で喋るミギー。 すごく似合っていると思いませんか?
by pulog
| 2004-07-06 17:19
| マンガ・アニメ
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